か:かばいたかし
順:珈琲順太
ス:二度寝スヤ子
み:社労士みっちー
順&ス:『かばいたかしのビジネスぅ経理ぃ』!(エコー)
順:「皆様こんにちは、週末の土曜日、いかがお過ごしですか?『ビジネス経理』ナビゲーターの『珈琲順太』です」
ス:「同じくナビゲーターの『二度寝スヤ子』です」
マ:「メイン・ナビゲーターの『かばいたかし』です」
み:「社労士『みっちー』です」
順:「先週の日曜日は参議院選挙でした」
か:「私は期日前投票で投票してきました」
み:「期日前投票って便利ですよね~」
順:「貴重な一票なのに投票率が50%を割り込むような状況は、本当に残念です。ウチの子供18歳投票制度のお陰で、初めての投票に張り切っていました(笑)」
か&ス&み「おーっ、それは初々しい!」
年金2000万円問題って何だ?
順:「今年6月に金融庁が金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の資料を公表したところ、大騒ぎになりました」
み:「いわゆる『年金2000万円』問題ですね」
『年金2000万円』問題
老後の金融資産として約2000万円が必要とする試算を盛り込んだ金融庁金融審議会の報告書が波紋を呼んでいます。夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職世帯が年金に頼って暮らす場合、毎月約5万円の赤字が出るとの試算を掲載しているものです。その後30年間生きると仮定すると、約2000万円が不足するという計算を示しています。ちなみにこれは、人生100年時代を考えた投資について考えようとすることが本論であって、この老後いくら必要かというのは本論ではなく単なる前提でした。しかし野党から「100年安心の年金は嘘だったのか」と追及を受けると報告書を受け取らないと撤回するドタバタぶりです。
ハンズオン・CFO・パートナーズ株式会社ブログ
『ダメな会社と老後2000万円必要騒動の意外な共通点(2019.6.17)』より
か:「あ、ココから引用ですか!」
順:「この問題って、議論が全然噛み合っていません。『お金への不安』から思考停止になっている典型例だと思いました」
み:「年金制度への大きな『誤解』から始まっていますよね」
順:「誤解ではないと思います」
か&み:「誤解じゃない?」
か:「『残酷な現実から目を向けない』という意味ですか?」
順:「いえ、少し違うと思います。お金の話に関してだけではないんですが、『人は自分の見たいモノしか見ない』のだと思います。『お金への不安』が入ると、特にこの傾向が大きくなります」
ス:「それはお金に対する勉強不足ってことですか?」
順:「自分が『(自分勝手に)思いたい』点だけを見て、そう『思い込みたい』だけなんです。その『(自分勝手に)思い込みたい』事実だけを見て、自分は正しい、不都合な現実は自分のせいではない、〇〇(国や他人)がイケナイんだ!と思いたいのです」
ス:「???」
「年金は、それだけで生活できる額であるべき」なんて誰が言った?
順:「スヤ子さん、年金って何だと思います?」
ス:「定年後の老後生活を送るために、現役時代に毎月お給料から保険料を積み立てて、定年になったら、年金で悠々自適の老後生活を送るモノ… かな? でも年金財政が厳しくて、破綻の可能性もあって、現在の若い世代は将来年金をもらえないかもしれない・・・」
み:「多くの人が、そう考えていますよね」
ス:「え、違うんですか?」
順:「はい、全然違います。ソレは選挙で『揚げ足取り』をしたい一部の野党と一部のマスコミが創り上げた嘘っぱちの幻想です」
ス:「え~っ!!」
み:「年金制度の説明というと、国民年金や厚生年金制度の違いとか、いつまで払って何歳から貰える?とか、制度説明が多くなってしまうんですけど、『年金って何?』という説明は誰もしてくれませんもんね(笑)」
順:「老後の生活は、子供や家族が面倒をみる、現役時代の貯金を使うといった『自助』が原則です。年金という共助(社会保険)は自助を補佐する制度です」
ス:「???」
み:「自助だけで老後生活を維持させるのは現代社会では難しくなっています。昭和以前は軍人恩給のような一部を除いて自助しか老後生活を支えるモノはありませんでした。つまり、家族・親族・地域共同体が面倒を見ていたんです。でも、老後の面倒をみてくれる子供がいなかったり、病気等によって現役時代に充分な貯金が出来なかった等、人によっては自助だけで経済的に老後生活を支えるのが難しいケースがあります。家族単位が小さくなっている現代では、とくにこういうケースを支える仕組みが弱くなりました。そこで、こういうケースを経済的余裕がある人無い人の全員が制度参加して、国民全体で支えようという現代の制度が共助(社会保険)なんです」
か:「簡単に言うと、不測の事態に陥った人を、不測の事態に陥らなかった他の人がお金を出し合って助け合う仕組みです」
ス:「だから、『税金』ではなく『保険』という名前なのか!」
か:「共助の考え方なので、老後生活のための老齢年金だけでなく、現役時代に不幸にも死亡した際に遺族を支える遺族年金、障害を負った際に障害者を支える障害年金が設計されています。これらは、不測の事態に陥った人を、他のみんなで支えようという共助の精神だからです」
順:「この、国民全体で支えるという共助(社会保険)は、国が支える公助(税金)とは全く違います。多くの人はココを誤解しています。公助は生活保護制度など、税金を使って国が最低限度の生活を保障/支援する制度ですが、日本の公的年金は共助です。「自助」が原則で「共助(社会保険)」は「自助」を補完する制度なんです」
ス:「自助と共助ですか?」
順:「日本の公的年金制度は、『国が老後生活を丸抱えで保証する』制度ではありません。公的年金だけで老後生活を保障するなんて制度設計は最初からしていません」
か:「今、老後世代に支払われている年金は、今の現役世代が支払っている保険料から支払われているんです。自分の親が年金を貰っているなら、その毎月の年金はまさしく、アナタの給与から毎月天引きされている年金保険料から支払われているんです」
み:「日本の年金制度って、海外と比較してどうなんですか?」
順:「旧ソ連や旧東欧のような社会主義経済モデルが崩壊した現代では、『国が老後生活を丸抱えで保証する』国は、ありません。海外の先進国では、公的年金のみで悠々自適に生活できる国なんて、元々無いんです。日本の公的年金の給付水準は、むしろ高い方です」
ス:「全然イメージが違いますね!」
か:「国民負担率が高い(税金や社会保険料が高い)北欧のような高福祉国家モデルもありますが、そんな国ですら『公的年金だけで悠々自適な老後生活』を保障していません」
順:「イデオロギーとして、『税金による公助設計として、公的年金だけで悠々自適な老後生活を送れる』のような社会主義・共産主義という国家を目指すのは、そういう考え方を持つ人がいるんだなと理解は出来ます。過去、どの国も成功していませんし、そんな自助を強制的に排除する社会主義国家思想は私はイヤですけど。その場合は、ものすごく高い税率を甘受しなくてはいけない制度設計になります。ましてや、元々全然違う設計思想で作られた日本の公的年金に「年金は、それだけで生活できる額であるべき」なんていう発言する人は、「自分の願望」が正しいと思いたいだけの単なるワガママな子供発想なんです」
ス:「ワガママな子供・・・」
か:「老後生活は、子供や家族が面倒をみる、現役時代の貯金使うという自助が原則で、自助を補佐する役目の年金が、いつの間にか「老後は年金だけで暮らす」モノという誤解が広まっているんです」
ス:「なぜですか?」
順:「老後のお金の不安を煽り、その原因を年金制度や国のせいにすると喜ぶ人達がいるからです」
ス:「喜ぶ人達… それって誰ですか?」
順:「お金の不安を煽ると選挙で票が得られるコトを知っていて利用する人達、庶民の味方だと謳ってポジショニングを取りたい人達です。具体的には、野党と、与党を攻撃したい一部のマスコミ、金融商品を売りたい金融機関です」
ス:「ひぇ~」
み:「あ、順太さんの口撃(笑)が始まった」
順:「『年金で暮らせない、まず謝れよ』と言った議員とか、これに同調して『国家的詐欺』とか『年金破綻を国が認めた』とか騒いだ一部のマスコミやSNSで騒いだ人達って、もう救いようのないくらいのワガママ子供発想ですから」
か:「確かに、年金問題になると、自分勝手な論調で議論が噛み合わないケースが多くなりますね」
年金資金は積み立ててなんかいない 年金財政の破綻はあり得ない
順:「先ほどかばい先生も言っていましたが、日本の年金は賦課方式です。賦課方式は、年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する方式で、現役世代の保険料で年金を支払っているんのです。個人別に積み立てている訳でも、年金資金を別途プールしている訳でもありません。積み立て方式なら、多くの人が現在水準の年金額なんて貰えません。年金財政の説明をすると長くなるのでここで止めますが、多くの人が誤解しています」
み:「珈琲団勉強会の国家財政の説明でも言っていましたね。所得の低い人ほど年金問題を声高に叫ぶけど、所得が低ければ低い程、自分が支払っている保険料以上の年金給付を受けている状態をどこまで知って叫んでいるんだろう?って」
順:「コレ、うちの父親と口論になったことがあります(笑)。ウチの父親が『オレは何十年と真面目に年金を積み立ててきた。だから当然に悠々自適な老後を迎える年金を貰う権利があるんだ』とトンチンカンなことを言っていたので、『何アホなことを言っているんだ』と説明を始めたら大ゲンカになりました(笑)」
み:「でも、そう思っている方多いんですよね」
か:「あと、『自分の代では年金の支払額より受取額の方が少ないので、損だ』とか、『公的年金なんかアテにならないので、公的年金に支払うより民間の個人年金に支払った方が良い』って大誤解している人も多いです」
ス:「うーん、そうなんですか? 是非 珈琲団勉強会で教えてください!」
順:「年金財政を破綻させる方法は、『給付と負担の不均衡』状態を放置することです。コレって、『年金(だけ)で老後生活を送れるようにしろ!』『年金給付は増やせ!でも負担(保険料)は増やすな』という某議員のような発言と同じで、こういう人が年金財政を破綻させるのです。そういう年金財政を破綻に向かわせる張本人の議員自身が、人気取りのタメに得意顔で『謝れよ』とか言うんだから、もうメチャクチャです」
み:「また始まった(笑)。あ、でも年金財政は私も学びたいです!」
順:「こんな発言をする某議員に対しては、マスコミを始め選挙民がその不勉強ぶりと低知性ぶりを諫めるべきなのに、短絡的なワガママ子供の発想で同調するんですから、本当そういう一部のマスコミってバカ丸出しです」
か:「所得代替率50%への『財政検証』ですか? こういう話って、会社の経営悪化が起こると戦犯探しと責任追及にやっきになってしまい、解決案を考えることが後回しになってしまうケースと似ています。」
順:「『給付と負担の不均衡』を放置出来るのは政治判断だけです。でも某議員だけでなく、左派系与党政権はその道に嵌りやすい傾向があります。例えばイタリアでは、コンテ政権は、人気取りのために今年、年金給付開始時期の引き下げという『給付と負担の不均衡』を拡大する施策を財源を考えずに取って、公務員の早期大量退職を招き大混乱状態です。財政赤字拡大でどうにも収拾がつきそうもありません。なぜか日本ではあまりニュースになっていませんケド」
か:「本来年金問題も政治家みんなの問題です。年金問題改革をどんどん先延ばしにしてきたのは与党自民党であることは確かですが、それでは民主党政権のころに年金制度の抜本的な改革案が進められたかというとそんなことはなかったはずです。こういった長期的な問題は泥船の中での争いのように政争の具にするのではなく、残酷な現実から目をそらせないで、与党野党協力して知恵を絞ってほしいです」
でもやっぱり、老後の安心には2000万円必要?
ス:「でも… 年金制度の誤解は何となく分かりましたが、平均的な老後生活を送るには2000万円必要になるという事実は変わらないんですよね…」
順:「いえ、それも大間違いです。あの報告書はそんなことは言っていませんし、そもそも『老後の不安』って、貯金がいくらあっても解消なんか出来ませんよ。『老後の不安』を煽られて、カモがネギ背負って証券・保険会社や銀行に駆け込んで、喰い物にされるのがオチじゃないですかねぇ」
み:「順太さん、ソコは是非聞きたいです!」
ス:「あ、そろそろお時間です。この続きは…次回なのかな? 次週土曜日の『ビジネス経理』#24 をお楽しみに!!」」
注)このコラムは、セカンド・オピニオン株式会社様の2019年7月27日付けBlogの転載です。
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